ブックメーカーの賭け方には、単純にひとつのオッズに賭けるシングルベット(Single Bet)と、複数のオッズにまとめて賭けるマルチベット(Multiple Bets)という方法があります。マルチベットは競馬で言うところの三連単のように、単勝に比べて配当が何倍も膨らんで一度に高額賞金を稼げる可能性を秘めています。
このページでは、そんなマルチベットの特徴、ルール、種類、計算式などについて、実際にブックメーカーの画像を交えながら解説しました。
マルチベットの2つの代表的な賭け方と基本ルール
Multiple(マルチプル)とは"複数"という意味を持つ英語で、Multiple Betsは文字どおり「複数のオッズへの賭け」です。最低2つ以上のオッズを組み合わせて賭け、その全部または一部の結果が的中すれば配当が得られます。コンビベット(Combi Bet)や、コンボベット(Combo Bet)も意味は同じ。
マルチベットにはいくつかの種類があるのですが、ルールは簡単。まずは2つの代表的な賭け方をご覧下さい。
全部当たれば倍率が掛け算となるアキュムレーター(Accumulator)
一番シンプルな例を挙げると、例えばサッカーのJリーグでこの2つの試合の「マリノスの勝利」と「ガンバの勝利」のオッズを選んだとします。
すると、ベットスリップにはそれぞれの賭け金を入力する欄が表示されるのと同時に、マルチベットの選択肢が現れます。
上の画像では、100ユーロ賭けた際の的中時の配当見積もりが517.5ユーロとなっていますよね。これは、マリノスの2.3倍×ガンバの2.25倍=5.175倍となるからです。つまり、両方当たれば、倍率が掛け算となって配当が支払われます。
これがマルチベットの一番基本型で、Accumulator(アキュムレーター:累積という意味)と言います。
オッズはいくつ選んでもよく(ブックメーカーごとに、10個まで、15個まで等の上限あり)、全部当たれば的中扱い。つまり、一つでも外れると他がすべて当たっていても配当は得られません。
結果次第で部分的に配当が得られる様々なパーミュテーション(Permutation)
アキュムレーターは全部的中しないといけませんが、Permutation(パーミュテーション:順列という意味)は、選んできたオッズのうちのいくつかのみが当たっただけでも配当がもらえる賭け方です。
例えば、先ほどの2つのオッズにもう1つ「セレッソvsアントラーズのドロー」を加えます。
すると、ベットスリップにはこのような選択肢が追加されます。
この画像のダブルというのがパーミュテーションです。ダブルとは、「3つ選んだオッズのうち、2つが当たると的中。その2つの組み合わせ全通りに賭ける」という賭け方。
この例の場合、組み合わせは
「横浜の勝利 & G大阪の勝利」
「横浜の勝利 & C大阪vs鹿島のドロー」
「G大阪の勝利 & C大阪vs鹿島のドロー」
の3つであり、ベットスリップに入力した金額が各選択肢に賭けられます。つまり、本件のダブルでは入力額×3(この画像なら30ユーロ)を使います。
そして配当は、それぞれのオッズの掛け算です。
「横浜の勝利 & G大阪の勝利」は2.3x2.25の5.175倍、「横浜の勝利 & C大阪vs鹿島のドロー」は2.3x3.30の7.59倍、「G大阪の勝利 & C大阪vs鹿島のドロー」は2.25X3.30の7.425倍で払戻しされるため、3つともが当たると10x5.175=51.75ユーロ、10x7.59=75.9ユーロ、10x7.425=74.25ユーロ、合計が51.75+75.9+74.25=201.9ユーロが得られます。(予想払戻金もそうなっていますよね)
ダブルの下にあるトリプルはアキュムレーターを意味しています。(3つとも当たると的中。2.3x2.25x3.30=17.0775倍) そして、さらにその下に表示されているトリクシーやパテントは特別な呼び方のマルチベットです。(後述)
パーミュテーションは選んだオッズ数によって組み合わせの種類も増える
パーミュテーションは、選んだオッズが3つなら組み合わせ上はダブルしかあり得ませんが、4つ選ぶとダブルのほかにトリプル(トレブル)という賭け方も選べるようになります。
例えばA、B、C、Dという4つのオッズによるダブルは、A&B、A&C、A&D、B&C、B&D、C&Dという6つの可能性が生まれます。そのため入力した賭け金×6を使うことになります。
同じ4つのオッズによるトリプルは、A&B&C、A&B&D、A&C&D、B&C&Dの4つの組み合わせに賭けます。
さらにEオッズを追加して合計5つのオッズとなったら、ダブルは10通り、トレブルも10通り、そしてフォーホールズ(Four Holds)という選択肢が追加されます。
フォーホールズはその名の通り4つのオッズの組み合わせで、A&B&C&D、A&C&D&E、A&B&D&E、A&B&D&E、B&C&D&Eの5つに賭けることになります。
このように、選ぶオッズが増えるとパーミュテーションの種類も増えていきます。しかしルールは全部一緒。的中時の払戻しオッズは、個々の掛け算です。
マルチベットの基本ルール
Accumulator Bet(アキュムレーター)…選んだオッズ全部が的中で払戻し。倍率は全オッズの掛け算。
Permutation Bet(パーミュテーション)…選んだオッズX個中のX個の組み合わせ全通りに賭ける。当たった個数に応じて総払戻し額は変わる。
まずはこの2つの基本を覚えておいて下さい。
様々なマルチベット-フルカバーベット(Full Cover Bet)の種類
続いては、先ほどチラッと登場したトリクシーやパテントなどについてご紹介します。これらはFull Cover Bet(フルカバーベット)と呼ばれる賭け方で、その名の通り「全ての可能性にまとめて賭ける」というものです。
例としてトリクシーを説明すると、これは3つオッズを選んできた際に、「ダブルとアキュムレーターをセットで賭ける」ことになります。
仮にA、B、Cのオッズなら、A&B、A&C、B&Cのダブルと、A&B&C全的中のアキュムレーターに賭けます。
本来、ダブルもアキュムレーターもそれぞれ別モノとして賭け金を入力するところがあるのですが、それらがセットになったトリクシーとして賭けるなら、各選択肢に同じ金額を使います。
つまり、もしベットスリップのトリクシーに10ユーロと入力すると、「ダブルの3通り+アキュムレーター1つ。計4つ」で10x4=40ユーロを賭けることになります。
フルカバーベットとは?要点
いくつかのオッズを選んでその組み合わせに賭けるという点でマルチベットの一種。フルカバーベットは必ず3つ以上のオッズの組み合わせから成り立ちます。したがって、中身に必ずダブルが含まれるため、選んだオッズが2つでも的中すると部分的に配当が得られます。
以下は、賭けるオッズの個数と賭ける内容、それぞれの名称をまとめた一覧です。
オッズ3個のフルカバーベット
Trixie(トリクシー) | 3つのダブルと1つのアキュムレーターに賭ける。計4Bet |
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Patent(パテント) | 3つのシングル、3つのダブル、1つのアキュムレーターに賭ける。計7Bet |
オッズ4個のフルカバーベット
Yankee(ヤンキー) | 6つのダブル、4つのトリプル、1つのアキュムレーターに賭ける。計11Bet |
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Lucky15(ラッキー15) | 4つのシングル+ヤンキー。計15Bet |
オッズ5個のフルカバーベット
Canadian(カナディアン) | 10のダブル、10のトリプル、5つのフォーホールド、1つのアキュムレーターに賭ける。(別名Super Yankee:スーパーヤンキー) 計26Bet |
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Lucky31(ラッキー31) | 5つのシングル+カナディアン。計31Bet |
オッズ6個のフルカバーベット
Heinz(ヘインズ) | 15のダブル、20のトリプル、15のフォーホールド、6のファイブホールド、そして1つのアキュムレーターに賭ける。計57Bet |
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Lucky63(ラッキー63) | 6つのシングル+ヘインズ。 計63Bet |
オッズ7個のフルカバーベット
Super Heinz(スーパーヘインズ) | 21のダブル、35のトリプル、35のフォーホールド、21のファイブホールド、7のシックスホールド、そして1つのアキュムレーターに賭ける。計120Bet |
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オッズ8個のフルカバーベット
Goliath(ゴリアテ) | 28のダブル、56のトリプル、70のフォーホールド、56のファイブホールド、28のシックスホールド、8のセブンホールド、そして1つのアキュムレーターに賭ける。計247Bet |
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マルチベットのおもしろさ
マルチベットのおもしろさは、何といってもその高額配当です。
選んだオッズの倍率がすべて掛け算となるため、アキュムレーター的中時の喜びは格別。
例えば2.2倍、3.5倍、1.7倍、4.0倍、1.3倍という5つのオッズを選び、100ドル賭けたとします。もしもすべて当たると「2.2 x 3.5 x 1.7 x 4.0 x 1.3 = 68.08倍」で配当は6800ドル(約70万円)。
オッズが増えるほど難易度は上がりますが、2つ、3つ程度の組み合わせならそれほど難しくはありません。
また、ブックメーカーのマルチベットは好きなオッズを自由に組み合わせることができます。スポーツ、オッズの種類問わず自由です。(ただし、同じ試合のオッズは組み合わせ不可。同一試合は、ベットビルダーという別のベット方法があります)
この画像は、野球の巨人vs阪神の「阪神勝利@2.20倍」、サッカーJリーグのセレッソ大阪vs鹿島アントラーズの「試合中の総ゴール数が2.5以上(実質3点以上動くと的中)@1.73倍」、同じくサッカーのイングランド・プレミアリーグのマンチェスターユナイテッドvsレスターシティ戦で「岡崎選手がゴールを決める@5倍」を組み合わせています。
このような組み合わせ方もできますし、ここにさらにテニスの錦織選手の優勝予想、バスケットボールの試合の第1クォーターのみの結果予想などを追加することもできます。
日本のtoto(サッカーくじ)は、対象となる試合が決まっていますが、ブックメーカーのマルチベットは自分が気になる試合だけをピックアップできますし、勝敗以外の切り口から予想することも可能です。またサッカー以外のスポーツを合わせてもOK。要するに自由自在、あなた次第です。
マルチベットのおもしろさ
- 高額配当の可能性(オッズが多いほど難易度は上がるが、配当も増えていく)
- 組み合わせは自由自在(スポーツの種類、オッズの種類問わず組み合わせ可能)
ブックメーカーごとのマルチベット
基本的に、どのブックメーカーでもマルチベットは使用できます。
ただし、サイトのよって基本形の「アキュムレーターのみ使用可」や「パーミュテーションも使える」など、対応はさまざま。日本語ブックメーカーだと、ウィリアムヒルやbet365、betwayなどのイギリス系老舗サイトはフルカバーベットまで全部あります。一方、スポーツベットアイオーのような新しいサイトはアキュムレーターのみ。
あとは、ウィリアムヒル、bet365、スポーツベットアイオー等のブックメーカーだと、組み合わせるオッズの数が一定を超えるアキュムレーターを使用すると、オッズ倍率にボーナスが付与され、単純な掛け算以上に配当が増えるという特典もあります。
マルチベットの特典の有無を基準に使用するブックメーカーを選ぶことはあまり無いと思います。ただ、ネット上のスポーツベッティングは複数のサイトを使い分けることが基本ですから、状況に応じて特典をうまく活用ください。
ブックメーカーのマルチベットまとめ
いかがでしょうか?マルチベットの特徴・ルール・賭け方などはご理解いただけましたか?
このページでは主にウィリアムヒルの画面を例として解説していますが、他のブックメーカーでもマルチベットはできます。予想に自信がある試合がいくつかあるなら、アキュムレーターで狙ってみるのも良いでしょう。少し怪しい試合も含んでいるなら、パーミュテーションのダブルやトリプルを使って、リスクヘッジしながら期待を。
ブックメーカーでの賭けは、オッズ単独で賭ける(シングル)だけでも十分におもしろいのですが、マルチベットを使うと一層楽しくなります。マルチベットについておさらいする時は、このページに戻ってお役立て下さい!